近年、これまでに経験したことのないような集中豪雨が頻発しています。特に、山地が多く、花崗岩が風化した「まさ土」に覆われた広島県では、大雨によるがけ崩れや土砂災害は決して他人事ではありません。
「自宅の裏が山(斜面)で、大雨のたびに不安になる」
「古い石垣や擁壁があるけれど、このままで本当に安全なのだろうか?」
そんな不安を抱えながら過ごすのは、心休まるものではありません。大切なご家族と財産を守るためには、土地の状況を正しく把握し、適切な「備え」をすることが不可欠です。
この記事では、広島の地で長年土木工事に携わってきた専門家の視点から、土砂災害の危険性と前兆、そして被害を未然に防ぐための「予防工事」や、万が一の際の「復旧工事」について、詳しく解説していきます。
なぜ広島は土砂災害が多いのか?他人事ではない土地の安全

広島特有の地質「まさ土」が大雨で崩れやすい理由
広島県で土砂災害が多い大きな理由の一つに、「まさ土(真砂土)」と呼ばれる地質が広く分布していることが挙げられます。まさ土は花崗岩が風化してできた土で、水はけが良い反面、一度に大量の水分を含むとその結合力が急激に弱まり、突然崩れ落ちるという非常に危険な性質を持っています。これが集中豪雨と結びつくことで、大規模な土砂災害を引き起こす一因となっています。
あなたの土地は大丈夫?土砂災害の前兆となる危険なサイン
がけ崩れや土砂崩れは、ある日突然起こるわけではありません。多くの場合、事前に何らかの前兆が見られます。以下のようなサインに気づいたら、すぐに専門家へ相談してください。
- がけや斜面から小石がパラパラと落ちてくる。
- がけや地面にひび割れができる。
- 斜面から水が湧き出している、または湧き水が濁っている。
- 木が傾いたり、異様な音が聞こえたりする。
ハザードマップで自宅のリスクを確認する方法
まずは、ご自身の土地が土砂災害のリスクのある区域に含まれているかを確認しましょう。各市町のウェブサイトで「土砂災害ハザードマップ」が公開されています。自宅が「土砂災害警戒区域」や「土砂災害特別警戒区域」に指定されている場合は、特に注意が必要です。一度確認しておくことで、防災意識を高めることができます。
被害を未然に防ぐ「予防工事」の種類と役割

土砂災害のリスクがある土地でも、適切な対策工事を行うことで、安全性を大幅に高めることが可能です。
法面(のりめん)保護工事|斜面そのものを強くする
切土や盛土によってできた人工的な斜面を「法面」と呼びます。この法面が雨風によって侵食されたり、崩れたりするのを防ぐのが「法面保護工事」です。コンクリートを吹き付けて表面を固める「モルタル・コンクリート吹付工」や、コンクリートブロックを張り付ける「張ブロック工」、植物を植えて根で土砂を安定させる「植生工」など、斜面の角度や土質に応じて様々な工法があります。
擁壁(ようへき)工事|土の崩壊をがっちり食い止める
がけや斜面の下に頑丈な壁を造り、土砂が崩れてくるのを直接防ぐのが「擁壁工事」です。鉄筋コンクリート(RC)造の擁壁が一般的で、現在の法律や条例に則って正しく設計・施工された擁壁は、土砂災害に対する非常に高い防御能力を発揮します。古い擁壁の安全性が不安な場合は、より強固なものに「やりかえる」工事も重要です。
排水路(はいすいろ)整備|災害の引き金となる「水」を適切に処理する
土砂災害の最大の引き金は「水」です。斜面に降った雨水が地中に浸透しすぎないよう、U字溝などの排水路を適切に配置して、速やかに安全な場所へ排出することが極めて重要です。また、地面の下に水の通り道を作る「暗渠排水」なども、斜面を安定させる上で非常に効果的な工事です。
万が一、被害が発生した場合の「災害復旧工事」とは

予防策を講じていても、想定を超える自然災害によって被害が発生してしまうこともあります。その場合は、二次災害を防ぎつつ、迅速かつ的確な復旧工事が必要となります。
二次災害を防ぐための応急処置
まず最も重要なのは、ご自身の安全確保です。危険を感じたら直ちに避難してください。その後、被害の拡大を防ぐため、ブルーシートで崩れた斜面を覆うなどの応急処置を行いますが、これも危険を伴うため専門家への依頼が不可欠です。
崩れた土砂の撤去と復旧に向けた測量・設計
安全を確保した上で、崩れ落ちた土砂を撤去します。同時に、被害状況を正確に把握するための測量や地質調査を行い、どのような工法で復旧するのが最も安全かつ効果的かを判断し、復旧計画を設計します。
元の状態より強くする。本格的な復旧工事の内容
災害復旧工事は、ただ元に戻すだけではありません。同じ災害が二度と起こらないよう、以前よりも強固な地盤にする必要があります。最新の基準に基づいた擁壁を新設したり、より効果的な排水設備を設けたりと、将来を見据えた恒久的な対策を講じます。
防災・復旧工事にかかる費用と利用できる制度

安全対策にかかる費用は、決して安いものではありません。しかし、活用できる制度もあります。
工事の種類別・規模別の費用感
費用は、工事の種類や施工面積、現場の状況によって大きく変動するため一概には言えませんが、法面保護工事や擁壁工事は、数十万円から数百万円、あるいはそれ以上になることも珍しくありません。まずは専門業者に現地を見てもらい、詳細な見積もりを取ることが重要です。
広島県・市町の補助金・助成金制度は使える?
自治体によっては、がけ崩れ対策などの防災工事に対して、費用の一部を補助・助成する制度を設けている場合があります。例えば、広島市では「がけ地近接等危険住宅移転事業」などの制度があります。適用には条件がありますが、まずはお住まいの市役所や町役場の担当窓口に相談してみることをお勧めします。
火災保険が適用されるケースについて
ご加入の火災保険に「水災」補償が付帯している場合、大雨による土砂崩れで自宅に被害が出た際に、保険金が支払われる可能性があります。ただし、補償の範囲は契約内容によって異なりますので、ご自身の保険証券を確認するか、保険会社に問い合わせてみましょう。
命と財産を守る工事だからこそ、業者選びは慎重に

防災・復旧工事は、専門性と高い技術力、そして豊富な経験が求められる分野です。業者選びの失敗は、取り返しのつかない事態を招きかねません。
公共の災害復旧工事の実績は、信頼できる技術力の証
業者を選ぶ上で最も重要な指標の一つが「実績」です。特に、国や県、市町が発注する公共の災害復旧工事を手掛けた実績があるかどうかは、その企業の技術力や施工管理能力、信頼性を示す確かな証となります。
現地の状況を的確に判断し、最適な工法を提案できるか
土地の状況を正確に診断し、なぜ危険なのか、どのような対策が最も有効なのかを、専門用語だけでなく分かりやすい言葉で丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。一つの工法を押し付けるのではなく、複数の選択肢とそれぞれのメリット・デメリットを提示してくれる提案力も重要です。
広島・島根の防災・災害復旧工事は千代田建設にご相談ください
私たち千代田建設株式会社は、広島県北部を中心に、これまで数多くの公共土木工事、そして災害復旧工事に携わってまいりました。その経験で培った技術力とノウハウを活かし、お客様一人ひとりの土地の状況に合わせた最適な防災・減災対策をご提案します。ご相談、現地調査、お見積もりは無料です。
まとめ:「備えあれば憂いなし」大切な資産と命を守るために専門家へ相談を
土砂災害への対策は、「いつかやろう」ではなく「今すぐ始める」ことが大切です。危険のサインを見つけたり、少しでも不安を感じたりしたら、決して放置せず、まずは専門家にご相談ください。早期の診断と適切な対策が、あなたとご家族の未来の安全、そして大切な資産を守ることに繋がります。千代田建設が、そのための第一歩を全力でサポートいたします。

