その石垣、いつ積まれたものですか?
広島県や島根県の山間部、あるいは古くからの住宅地を歩くと、石垣(いしがき)や玉石(たまいし)積みの上にお住まいが建っている光景をよく目にします。
こうした石垣の多くは、昭和30年代から40年代の高度経済成長期に造られたものです。当時は現在のような厳しい建築基準法や設計指針が十分に浸透しておらず、「見た目は立派でも、実は非常に不安定」という石垣が少なくありません。石の裏側に水を通すための「裏込め砕石(うらごめさいせき)」が不足していたり、地面への「根入れ(ねいれ:基礎の深さ)」が極端に浅かったりするケースが散見されます。
特に広島・島根に多い「真砂土(まさど)」は、水を含むと強度が著しく低下します。長年の雨風で土中の水分が石の隙間を通り、少しずつ背後の土砂を流し出してしまうことで、ある日突然、石垣が崩壊するリスクをはらんでいます。
危険な石垣のサインを見逃さないで

「うちの石垣は昔からあるから大丈夫」と思いがちですが、石垣は少しずつ、しかし確実に劣化のサインを出しています。以下のチェックポイントに心当たりがないか、確認してみてください。
石垣のチェックポイント
- 石の抜け落ち・ズレ:一部の石が前に飛び出していたり、逆に奥に引っ込んでいる
- 目地(めじ)の開き:石と石の間のコンクリートや漆喰が剥がれ、大きな隙間が空いている
- はらみ・膨らみ:石垣全体が太鼓のお腹のように外側へ膨らんで見える
- 上部地面の陥没:石垣の上(庭や駐車場)の地面が、以前より沈み込んでいる
- 水抜き穴の欠如・異常:そもそも水抜き穴がない、あるいは雨の日でも水が出てこない
特に水抜き穴の異常は緊急性が高いサインです。内部に水が溜まりすぎると、水圧で石垣が内側から押し出されてしまいます。水抜き穴の詰まりや不具合への対処については擁壁の水抜き穴の詰まりと対処法で詳しく解説しています。
石の表面から常に水が染み出している場合は、土の中の排水経路が完全に壊れている可能性があり、早めの対応が必要です。
補修で済む場合と作り替えが必要な場合の判断基準
石垣に不具合が見つかったからといって、すべてを壊して作り直さなければならないわけではありません。状況によって「部分補修」か「全面やりかえ」かを見極めることが大切です。
部分補修で対応できるケース
石垣全体に傾きがなく、一部の目地が剥がれている程度であれば、目地の詰め直しや専用の注入材による補強で寿命を延ばせます。ただし、これはあくまで延命処置であり、根本的な強度が上がるわけではない点は理解しておく必要があります。
基礎から作り替えが必要なケース
石垣そのものが前方に傾いている、あるいは中央部が膨らんでいる(はらんでいる)場合は、地盤ごと動き出している証拠です。この状態になると、表面をいくら補修しても崩落を止めることはできません。
高さ2mを超える擁壁を新設する場合や大規模な修繕を行う場合は、各自治体の「がけ条例」の規制がかかります。広島県の場合の規制内容や手続きについてはがけ条例と擁壁工事の必要性をご確認ください。
なお、古いブロック積み擁壁も石垣と同様のリスクを抱えています。特に鉄筋が入っていない古いブロック塀は、揺れや水圧がかかると一気に崩れる性質があるため、心当たりのある方はブロック積み擁壁のやりかえ工事もあわせてご参照ください。
コンクリート擁壁への作り替え工事の流れと費用

古い石垣を撤去し、現代の基準に適合したRC(鉄筋コンクリート)造の擁壁に作り替える工事は、大がかりな土木作業になります。
工事の標準的なステップ
- 既存石垣の撤去:重機を使い、崩れないよう慎重に石と裏の土を取り除く
- 地盤の確認・補強:新しい擁壁の重さに耐えられるよう転圧し、必要に応じて地盤改良を行う
- 基礎工事:強固なコンクリートの基礎(ベース)を十分な根入れ深さで構築する
- 擁壁の構築:鉄筋を組み、型枠を立てて生コンクリートを打設。「L型」「逆T型」「重力式」など土地の条件に最適な形状を選定する
- 排水・埋め戻し:擁壁の裏側に透水用の砕石を詰め、水抜き穴を設置してから土を埋め戻して締め固める
費用相場の目安
作り替えの費用は、1平方メートルあたり5万円〜10万円程度が一般的な相場です。
たとえば高さ2m、長さ10mの擁壁(面積20㎡)を新設する場合、既存の撤去費や残土処分費を含めると150万円〜300万円程度の予算が必要になるケースが多いです。
斜面が急で作業スペースが限られる場合は、崩落防止の仮設工事や法面保護工事が追加で必要になることもあります。法面保護の工法や費用についてはがけ崩れ・法面保護工事の費用と予防策で解説しています。
千代田建設にご相談ください
石垣や擁壁のやりかえ工事は、単にコンクリートを流し込むだけの作業ではありません。見えない土の中の水の動きを読み、何十年先も動かない地盤を造る「土木設計」の知識が欠かせません。
千代田建設は、北広島町を拠点に広島・島根の険しい土地で、数多くの公共工事や災害復旧工事を手がけてきました。造成から擁壁、舗装まで自社でワンストップ対応できるため、土地全体を見据えた無駄のない施工プランをご提案できます。
「この古い石垣、次の大雨で崩れないだろうか」「ハウスメーカーにやりかえを勧められたけれど、金額が妥当なのか知りたい」など、不安や疑問がありましたらお気軽にご相談ください。現地調査で石垣の状態を診断し、最適な対処法をお伝えします。
千代田建設株式会社
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電話:0826-72-4137
対応エリア:広島県・島根県・山口県

